

5個のりんごを10人で分けたいとき、どんなことを考えるでしょうか。全員平等に半分ずつわけるという人が多いと思います。しかし、それでは全員が納得しないような事情もあります。りんごを手に入れることのできた功労者には多めに分配すべきかもしれません。対価となるお金をどれだけ支払えるかに応じて分配するといった考えもあるでしょう。腕に自信のある人がいれば、奪い合いが起こるかもしれません。きっと、全員が妥協無しに満足する分配方法は存在しないでしょう。とはいえ、何かしらの分配方法に決定しなければ、りんごが腐ってしまいます。
社会科を学んで身に着けるべき力は、社会問題を発見して未来を予見する力、社会問題を分析する力、社会問題の未来を変える改善策を考案する力の3つです。算数・数学のようには行かず、人間が関与する社会問題には絶対といえる解決策が存在しません。その中でも、皆をまとめあげることのできる策を提案する力が社会のリーダーには求められます。
子供たちが本当の意味で社会の存在を認識するのは、「社会人」になってからでしょう。子供のうちは、政治に参加したりお金を稼いだりする機会がほとんどありません。「郷に入っては郷に従え」というように、自分で行動決定を行う上で社会の仕組みやルールに関する理解は欠かせません。社会人は、自分ひとりの生活だけでなく、社会をよりよくするための行動をとらなければなりません。

社会科では、社会を作る人間の行動要因と、実際に作られてきた社会の仕組みを学びます。単に社会学といえば、一人ひとりの「役割」を手がかりにして社会を分析しますが、社会科で学ぶのはより多様な視点から眺めた社会のすがたです。地理学では「場所」、経済学では「利益」、政治学では「権力」、倫理学では「心」を手がかりにして社会を分析します。
水道の水を例にとって考えます。まず、どこから水を引いてくれば良いでしょうか。川や地下水を利用することが多いですが、そのままで飲むのは危険ですし、利用した水をそのままにして環境を汚してしまうのもよくありません(地理学の視点)。また、水道の水が価格競争となって、「貧しい人は、安全な水すら飲めない」という社会には問題があることは明らかです(倫理学の視点)。そこで、水道は自治体が管理し、浄水も下水処理もルールで決められた基準を守れるようにするのが良いと考えます(政治学の視点)。こうして水道水は最低限の価格で各家庭に届けられていますが、よりおいしいジュースやお酒を普段から飲む人もいるでしょう。スーパーでは、そうした飲み物の販売競争が行われています(経済学の視点)。
以上のように、キーワードを1つ考えてみても、多様な見方で社会を考えることができるのですが、こうした仕組みは長い歴史の中で積み重ねられてきた人間活動の結果です。いつの時代にも社会問題があり、現状を打破しようと斬新なアイデアを生み出し、良くも悪くも社会を変化させてきました。こうした過程を学ぶのが歴史の目的の一つです。過去の変化を学ぶことで、現在の社会問題に対するアイデアが未来をどう変えるのかを推測することができます。
ここで大事なことは、現代の社会は歴史の積み重ねによって築かれており、どこかの時代でポッと現れたようなものではないということです。日本では、古来の民族思想(神道)と大陸からやってきた思想(仏教)が融合し、2000年近くにわたって既存の社会を無にするような社会の変化は起きていません。お寺や神社、和食や和室などの長い歴史をもつ日本文化を理解することは、現代の日本の社会構造・文化・思想を語る上でも欠かせません。

社会科ができるようになる大前提は、当事者の立場に立つことができることです。地理を学ぶときは、その土地に住む人・その職業に就く人の立場を考えます。歴史を学ぶときは、その時代に住む人・その役職でふるまう人の立場を考えます。その視点から、当事者の行動要因や社会問題を考えることで、社会科の力が伸びていきます。
その場所・その時代に行かずとも当事者の解像度を上げるためには、地図やデータ(図表)を参照することが欠かせません。歴史において代表的な資料を参照するのはもちろんのこと、地理では気軽にアクセスすることができる衛星画像や企業情報を活用するのが効果的です。
いつ、どこで、どんな社会があった、という知識だけでは社会科は完結しません。当事者の立場に立って考えれば、そこに社会問題を見出せるはずです。歴史で学ぶことは、何かのきっかけで社会問題が浮き彫りとなり、社会変化が生じるという流れがほとんどです。地理や公民で学ぶことも、今後避けられない少子高齢化問題や環境問題と関連づけられるでしょう。社会変化を推測しながら日頃のニュースをチェックする習慣をつけることが大切です。
総じて、社会の学習とは、広く社会を見通す視点からの知識の関連付けと言えます。まだ社会人ではない小中学生にとって、社会の知識は遠いもののように感じるはずです。それらを子供の興味に引き込むためには、小中学生向けのストーリーに落とし込める講師からの語りや問いかけが欠かせません。

「社会科が得意」というのは本来「社会問題を考える能力がある」という意味です。しかしながら、この能力を小中学生向けのテストで判定することは極めて困難です。その結果、社会のテストは知識量を問うものとなりがちであり、社会科が得意だからといって「社会のテストの成績が良い」とは限らないこととなります。こうした背景から、関西圏の灘中学校・灘高校、甲陽学院などでは入試科目に社会科を含めていません(その他、関西圏の多くの難関校は社会科以外での3科目受験を可能としています)。
膨大な知識を記憶する方法を考える際、「何をすればよいか」だけを信じてしまう子供は多いです。社会のテストは「たくさん暗記したもん勝ち」ではなく、「効率的に暗記したもん勝ち」です。歴史の年号をすべて丸暗記する、というのは歴史の中身を一切考えていない極めて無駄な作業です。覚える意義と、覚えなくてもよい範疇を心得ることが大切です。
高木塾の授業では、関連付けによる反復記憶を実践しています。社会を考える上で、地理・歴史・公民は完全に分けて考えられるものではありません。言い換えれば、一つの事柄を学ぶ際には他の事柄を関連付けることができるということであり、日頃の学習でこれを繰り返すことで着実に暗記を進めることができます。テキストの区分や流れにとらわれずに、広く社会を見通した視点が効率的な暗記へとつながります。

高木塾では、春期・夏期・冬期にそれぞれ季節講習会を実施しています。例年、理科社会のクラスは人気を博しており、幅広い学年の生徒たちが短期間で理科社会の楽しさを習得しています。講習会のたびにテーマは異なります。以下は、いずれも人気を博した講習会クラスの実施例です。
社会の講習会 実施例
・はじめての社会 お金のはなし
・はじめての歴史 旧石器時代から現代まで
・深堀りする時事問題20XX
・東大入試から学ぶ歴史の極意


対象目安:小4から中3、理科クラスとセット
地理・歴史・公民の3分野のエピソード記憶術を伝授します。空間軸の地理・時間軸の歴史の大構造、および分野を代表するトピックスを適宜取り入れつつ、分野ごとに一本の話の筋を通して解説を行います。法と政治を扱う抽象度の高い公民は、近現代の歴史および社会問題といった具体的事象と関連付けた解説を行います。